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レンズの向こうに。
先月末、セトレ舞子様 (神戸市垂水区) の宣材画像撮影に参加させて頂きました。
丹念な打合せの末に準備した装花は、イエローをベースにしながらも甘くなり過ぎない春素材。
背景となる瀬戸内海の雄大さを考慮して、デザイン自体に動きと華やかさを持たせます。
そこで こだわったのが「甘さと渋さ」のコントラスト。
具体的には、フェミニンなポピーやラナンキュラスで甘さを表現し、
エッジの効いたアンスリュームやオンシジュームで渋さをプラス。
特にポイントカラーのイエローには、レンギョやキルタンサスの枝ものを用いて
メインバックから差し込む光との陰影も楽しんでもらえることを意識しました。
宣材写真の主役となるモデルさんが持つブーケも大切なアイテムです。
肩から続く刺繍が印象的なストンとしたドレスは、モデルさんとの相性も抜群で、
私がイメージした少々個性的なブーケも、違和感無くフレームに納まってくれました。
裏話しですが、当初製作したブーケはアンスリュームを多めに使って、
ダイナミックな動きを表現していました。
ただ、実際にモデルさんが持つと顔やドレスなどとバッティングしてしまった為、
大振りのアンスリュームを短くし、ポピーをあしらった軽やかなテイストに変更しました。
長時間を費やす撮影作業ですが、普段では感じ得ない大切なことを気付かせてくれます。
先ほどのブーケについても、集中すればするほど個のデザインに目が行きがちですが、
俯瞰で「持った瞬間」を想像することは、フローリストにとって非常に大切なことです。
今後は基本を忘れることなく、固定概念にとらわれない装飾に挑戦して行きたいと考えています。
その結果、複数の感じ方が出来るようなデコレーションが完成すれば、
そのチャレンジは成功したといえるでしょう。
大阪アトリエ 奈良 千寿
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